不確実な未来の中で、「自分で決めた」今を支える

「その人にとって、何が最適解なのだろう」

支援の場面ではそう考えることがあります。どの選択が適切なのか。どの関わり方がその人にとって良いのか。正解を探したくなる場面も少なくありません。

ただ実際には、その「正解」が今この場にあるとは限らないように感じます。

正解は、人生の中で後から形づくられる

もしかするとそれは、その人がこれから生きていく時間の中で、少しずつ形になっていくものなのかもしれません。
どの選択がよかったのか。
どの関わりが意味を持っていたのか。
それは後から、その人の人生の中で見えてくる。

そう考えると、今この場で「これが正解です」と決めきることは、本来とても難しいことなのだと思います。

「分からない」ことへの不安

ただ一方で「どう選べばいいのか分からない」と感じて、立ち止まってしまうこともあります。どれを選べばいいのか。
間違えたらどうなるのか。
正解が分からないまま決めることへの不安。そうした感覚の中で、動けなくなってしまうことも少なくありません。

意味は、経験の中で形づくられる

実際のところ、どの選択がよかったのかはその場では分からないことの方が多いのだと思います。
選んだ先で何が起きたのか。
その経験を、その人自身がどう受け止めたのか。
そうした積み重ねの中で、あとから少しずつ意味が形づくられていく。

「正しい選択」より「自分で選んだ感覚」

もしそうだとすると、支援の中で大切なのは「正しい選択をすること」だけではなく、その人が、そのときに考えられる選択肢の中から、自分なりに選んだと感じられること。そして、これから起きる不確実な未来に対して、ほんの少しでも「やってみてもいいかもしれない」と思えること。その感覚を持てることなのかもしれません。

「自分で選んだ」という感覚が、次につながる

思い通りの結果にならないこともあります。それでも「自分で選んだ」という感覚が残ることで、その経験を自分なりに引き受け、次につなげていくことができる場合もあります。その感覚こそが、人が自分の人生の主人公でいられるための大事な土台なのです。

「一緒に考える」という関わり方

では、そのとき支援の中で何ができるのでしょうか。
ひとつは「一緒に考える」という関わり方です。支援者が一方的に決めるのでもなく、すべてを本人に委ねるのでもなく、その人とともに、いくつかの選択肢や可能性を見つけながら、意思決定のプロセスをつくっていく。

こうした考え方は「共有意思決定(Shared Decision Making:SDM)」とも呼ばれています。

「支える」という関わりの本質

大切なのは正解を提示することではなく、その人が自分にとっての選択を自分なりに納得できる形で決めていけるように、関係の中で支えていくこと。そのためには、いくつかの見方や情報を共有しながら、時間をかけて一緒に考えていくことも必要になります。

その過程は時間がかかり、確実ではないかもしれません。でも、その過程の中にこそ、その人が人生の主体者になるための経験があるのです。

「決めること」ではなく「決めていくプロセス」

正解は今ここにあるものではなく、その人の未来の中にあるもの。そのため、支援は「決めること」そのものではなく、「一緒に決めていくプロセス」に関わるものなのかもしれません。

迷いながら、選ぶ勇気

もし今何かを決めることに迷っているとしたら、すぐに答えを出そうとするのではなく、一緒に考える時間を持ってみる。そんな関わり方も、ひとつの選択肢としてあっていいのではないでしょうか。

その迷いや試行錯誤の時間が、その人がこれからの人生で何度も必要になる、自分で選ぶ力を育てるのだと思います。


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