就労支援のアセスメントとは?|評価ではなく、その人を理解し続けること
「アセスメント」と聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。
一般的には、
アセスメント=評価
と受け取られることが少なくありません。
たとえば、
- できること
- できないこと
- 得意なこと
- 苦手なこと
こうした項目を整理して、本人の状態を見極めるためのチェックのように感じる方も多いと思います。
けれど、プラクトが考える就労支援のアセスメントは、少し違います。
私たちは、アセスメントとは「評価して終わること」ではなく、その人を理解し続けることだと考えています。
人は、一度見ただけでは分からない
就労移行支援の現場では、初回面談の印象だけでは分からないことがたくさんあります。
面談では緊張してうまく話せなかった人が、昼食の時間には自然な笑顔を見せることがあります。
プログラムでは静かに過ごしていた人が、実習では周囲に声をかけながら動けることもあります。
職場では困りごとが目立っていた人が、休日の趣味の場面では驚くほど積極的で、自分らしさを発揮していることもあります。
人は、いつも同じ姿を見せるわけではありません。
場所が変わると見える姿が変わり、人が変わると振る舞いが変わり、役割が変わると強みの出方も変わる。
だからこそ、アセスメントとは一度の面談や一枚の記録で完了するものではありません。
精神障害や発達障害のある方への就労支援では、日々の関わりの中で見えてくる変化や特徴を丁寧に受け止めていくことが大切です。
困りごとは「原因」ではなく、「結果」かもしれない
アセスメントとは何かを考えるとき、もう一つ大切な視点があります。
それは、目の前に見えている困りごとを、そのまま原因だと決めつけないことです。
たとえば、「遅刻が多い」という状況だけを見れば、
「時間管理が苦手なのだろう」
という理解になりやすいかもしれません。
しかし実際には、その背景にさまざまな要因があることがあります。
- 睡眠の乱れ
- 服薬の影響
- 不安の強さ
- 家族との関係
- 仕事や通所へのストレス
- 生活全体のリズムの崩れ
つまり、困りごとは原因そのものではなく、何か別の要因が重なった結果として表れている場合があります。
この視点がないまま支援方法を考えてしまうと、表面に見えている行動だけを修正しようとしてしまいます。
けれど本当に必要なのは、その人の背景を理解したうえで、何が負担になっているのかを一緒に整理することです。
多職種だからこそ見えるものがあります
プラクトでは、精神保健福祉士、公認心理師、作業療法士、社会福祉士、など、さまざまな専門職が関わっています。
それぞれの職種は、同じ場面を見ても少しずつ違うものに気づきます。
あるスタッフには生活上の課題が見え、別のスタッフには不安の背景が見える。
作業の様子から得意なことが見えることもあれば、会話の中から本人の希望が見えてくることもあります。
そのため、プラクトでは一人の支援者が単独で評価を決めるのではなく、複数の視点を持ち寄って理解を深めていくことを大切にしています。
こうした考え方を、やや専門的な言葉で**「ポリフォニック」**と表現することがあります。
難しく聞こえるかもしれませんが、意味はシンプルです。
一つの声だけではなく、複数の視点からその人を理解する。
就労支援において、この姿勢はとても重要です。
とくに障害者雇用を見据えた支援では、本人の特性を単純化せず、多面的に理解することが、より自然で無理のない支援につながります。
アセスメントの解像度は、支援の解像度です
私たちは、アセスメントの解像度は支援の解像度だと考えています。
その人への理解が浅ければ、支援も浅くなります。
必要のない訓練を勧めてしまったり、本当に必要な支援を見落としてしまったりすることもあります。
一方で、その人への理解が深まると、支援はもっと自然になります。
支援者側の考えを押しつけるのではなく、本人の希望や状態に合った関わり方ができるようになります。
これは、就労移行支援における支援方法を考えるうえで、とても大切なことです。
就職を急ぐべきか、生活面の安定を優先すべきか、実習を取り入れるべきか、職場定着を重視するべきか。
その判断は、表面的な評価ではなく、日々更新される理解の上に成り立つべきです。
プラクトでは、アセスメントは利用開始日に終わりません
だからこそプラクトでは、アセスメントを利用開始時だけのものとは考えていません。
利用開始日に面談をして終わり。
チェックシートを書いて終わり。
そうしたものではなく、支援している限り、ずっと続いていくものだと考えています。
本人の状態は変化します。
環境も変わります。
支援の中で見えてくることも増えていきます。
だからアセスメントも、一度きりではなく、関わりの中で更新され続ける必要があります。
それが、精神疾患や発達障害のある方に対する、より実感のある就労支援につながっていきます。
次回は今回の内容をふまえて、
「同じ診断名なのに、困りごとは全然違う」
というテーマについて、もう少し詳しく取り上げます。