支援機関の役割は変わるのか――障害者雇用率2.7%時代に求められること
これまで全8回にわたって、障害者雇用率2.7%時代をテーマに、変化する障害者雇用の現場について考えてきました。法定雇用率の引き上げ、企業が抱える悩み、定着という新たな課題、精神障害や発達障害のある方と共に働く社会、そしてAIをはじめとする新しい技術の可能性――。制度も社会も大きく変わり始めています。
では、その中で障害者雇用の支援機関には、どのような役割が求められるのでしょうか。
「就職させること」がゴールだった時代
これまで支援機関は、「就職すること」を一つの大きな目標として支援を行ってきました。
- 履歴書の作成サポート
- 面接練習の同行
- 企業とのマッチング調整
もちろん、こうした支援は今後も欠かせません。しかし、就職そのものが安定した就労に直結するわけではないということを、私たちは多くの現場で経験してきました。
障害者雇用 企業支援の新しい焦点――「働き続けられること」
障害者雇用率2.7%時代では、採用よりも定着支援が大きなテーマになっています。だからこそ支援機関も、次のような考え方の転換が求められます。
- 「就職したら終わり」という姿勢から卒業する
- 「働き続けられるように伴走する」という役割を、これまで以上に担う
具体的には、以下のような変化へのフォローが重要です。
- 体調の変化に合わせた働き方の見直し
- 職場での困りごとへの早期対応
- 必要な配慮の段階的なアップデート
こうした変化に合わせて、本人と企業が継続的に対話を続けられるよう支えること。それが、障害者雇用における定着支援の本質ではないでしょうか。
支援の対象は本人だけではない
支援機関というと、「障害のある方を支援する場所」というイメージを持たれることがあります。もちろん、それは大切な役割です。
しかし実際には、企業もまた多くの悩みを抱えています。
- 障害のあるスタッフとどのように関わればよいのか
- どのような配慮が適切なのか判断に迷う
- 管理職として何を意識すればよいのかわからない
こうした問いに向き合う企業を支えること。これからの障害者雇用 企業支援には、欠かせない視点です。障害者雇用は、本人だけの努力でも、企業だけの努力でも成り立ちません。両者の間に立ち、対話できる環境をつくることが、これからの障害者の雇用 支援機関の大切な役割になっていきます。
支援とは「答えを出すこと」ではない
支援の現場では、「正しい答え」を求められることがあります。しかし、精神障害や発達障害のある方への支援では、一人ひとり状況が大きく異なります。
だからこそ大切なのは、最初から正解を示すことではありません。本人、職場、支援者が対話を重ねながら、「その人にとって働きやすい環境とは何か」を一緒に考え続けること。支援とは、答えを与えることではなく、対話を支え続けることなのだと思います。
障害者雇用率2.7%時代の、その先へ
法定雇用率は、障害者雇用を前に進める大切な制度です。しかし、私たちが本当に目指したいのは、数字を満たすことだけではありません。
- 障害のある方が、自分らしく働き、役割を持ち、社会とのつながりを感じながら暮らせる社会
- 企業が、「雇用する側」と「雇用される側」という関係を超え、一緒に働く仲間として多様性を受け入れられる社会
この二つの実現のために、障害者雇用の支援機関の役割もまた、少しずつ変わり始めています。これからの支援機関は、「働く人」を支えるだけではありません。働く人と職場、その両方を支え、対話をつなぐ存在。障害者雇用率2.7%時代は、まさにその新しい支援のかたちが問われる時代なのかもしれません。