就労系サービスの「在宅支援」が変わります

近年、「在宅で働く」という働き方は、新型コロナウイルスの流行をきっかけに私たちの社会でずいぶん身近なものになりました。障害福祉の就労系サービスでも、就労移行支援や就労継続支援A型・B型において、一定の要件を満たした場合には、自宅で訓練や作業を行いながら支援を受けられる「在宅支援」が認められています。

ところが今、この在宅支援のあり方が大きく見直されようとしています。千葉市は2026年8月10日、「就労移行支援事業及び就労継続支援事業における在宅支援の取扱いについて」という通知を出し、新しい運用は2026年10月1日から適用されます。

千葉市の在宅支援はどう変わるのか

今回の通知では、「通所を原則とし、在宅支援は例外的な支援として運用する」という考え方が明確に示されました。主な変更点は以下のとおりです。

  • 在宅支援を始める前に、原則として2か月間の通所が必要
  • 在宅支援の利用は週2回まで
  • 同じ事業所での在宅支援は、適用開始後、原則1年まで
  • 1年以内に通所利用へ切り替えられるよう個別支援計画を策定
  • 在宅支援が通所より効果的である理由を具体的に示すこと
  • 緊急時は職員が概ね30分程度で利用者宅へ駆けつけられる体制
  • 在宅支援中は1日2回、連絡・助言・進捗確認を実施
  • 週1回以上、訪問・通所・ICT等による評価
  • 月1回は原則として対面で達成度を評価

また、体調不良や通院、天候など、その日の事情で在宅利用と通所利用を自由に切り替えるような利用方法は「適当ではない」と整理されています。これまで在宅支援を行ってきた事業所は、利用者一人ひとりについて支援の必要性や方法をあらためて整理し、運用を見直す必要があります。

なぜ、在宅支援が厳しくなるのか

この動きには背景があります。厚生労働省は2026年4月、就労移行支援・就労継続支援A型・B型に対し、在宅支援の要件をあらためて徹底するよう通知しました。そこでは、在宅支援と称しながら就労支援の生産活動として適切とは言い難い活動や、就労に必要な知識・能力の向上につながらない自習などを行わせている事例が指摘されています。

問題は「家で支援を受けていること」そのものではありません。在宅支援という名前はついているものの、実際に就労に向けた支援が行われているのか——そこがあらためて問われています。

厚生労働省も、利用者の状態や訓練の進み具合を直接確認しながら支援する必要があり、原則として対面による支援が求められるという考え方を示しています。さらに在宅支援は、2027年度の障害福祉サービス等報酬改定で見直すことも検討されており、今回の千葉市の動きだけで終わる話ではないのかもしれません。

不適切な在宅支援をなくすことは必要です

公費によって提供される障害福祉サービスですから、実態のない支援や、就労支援とは呼びにくいサービスが行われているのであれば、適正化される必要があります。これは当然のことです。

一方で、在宅支援だからこそ働くことへの道が開ける人がいることも事実です。移動そのものに大きな困難がある人、人との接触や外出に大きな不安を抱える人もいます。現在では一般企業に就職したあとも、在宅勤務やオンラインを活用して働く選択肢があります。

そう考えると、**「在宅で支援を受けること」と「支援の質が低いこと」は、本来同じではありません。**大切なのは、在宅か通所かという場所だけではなく、その支援によって本人にどのような変化が生まれ、働くことへどうつながっているのかではないでしょうか。

在宅支援の「良し悪し」を、私たちは何で判断するのだろう

週2回、原則1年、1日2回の連絡、週1回の評価——今回示された基準は、適切なサービスを担保するために必要なものでしょう。

ただ、制度について考えるうちに、もう一つの疑問が浮かびます。**良い在宅支援とは、いったい何をもって「良い」と判断するのでしょうか。**通所日数や連絡回数、利用期間も支援を確認するための大切な情報ですが、私たちが就労支援で本当に見たいものは、その先にあるようにも思います。

今回の制度変更をきっかけに、このブログではしばらく「在宅支援とは何のためにあるのか」を考えていきます。次回は少し踏み込んで、**「在宅支援の問題は、『在宅』であることなのか」**というところから考えてみます。